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4月5日、朝7時頃起床。その日は、9時頃にダイビングショップの人が迎えに来てくれると言うことだったのでゆっくり準備をすることにした。トイレに立ったときに、宿の主人に「お茶でも飲まないか。」と誘われて、食堂の方に行ってみると、結局朝御飯までご馳走して頂くことになった。朝御飯といっても、ご飯みそ汁に納豆と卵だけだが、タダほどありがたいものはない。おかげで、ご主人の世間話に1時間ほどつき合うことになったが、9時までは暇だったのでありがたかった。
8時半頃になって、宿の主人が出かけるからダイビングショップまで送ってやると言い出した。それではと言うことで、急いで準備をすませて表に出ると、別棟の建物からご主人の奥さんが現れた。気の強そうなフィリッピンの女性だ。さっきの世間話では、ご主人は気の強い女は嫌いだと言っていたのに。なんとなくおかしかった。
ダイビングショップに着いて、さっそく手続きをすませた。今日の客は僕一人だそうだ。インストラクターは伊藤さんという感じのいい男性だ。行程は、僕一人だったので自由に決めていいと言うことのなった。それで、今日はあまり天気もよくないので1回目と二回目の間に食事を入れないで、早い時間に終わらせて午後から島内観光をすることにした。
まず最初に、元浦というポイントに行った。砂浜からエントリーするポイントだ。そこには、ファインディング・ニモの世界が広がっていた。クマノミ、チョウチョウウオ、ブダイなど色鮮やかな魚たちがたくさん泳いでいた。インストラクターの伊藤さんは、ホワイトボードで「これは何々です。」と丁寧に教えてくれるが、何が珍しくて、どれが珍しく無いのかさっぱり分からないし、大して覚える気のない僕にとってはどうでもいいことだった。ただ、きれいな珊瑚礁と魚たちがいればそれで満足できる。
2回目のダイブは、タンク下と言うポイントで、岩場にロープが張ってあり、そこから海に飛び込んでエントリーしそのロープにつかまって上がってくるというポイントだ。途中砂場に、二カ所の小さな岩礁があるところがあり、勢いを付けて近づくと魚たちがその岩礁に寄ってきて魚の密度が濃くなるのが面白かった。ダイブポイントの移動中に
伊藤さんから聞いた話だが、クマノミに親指を立てて近づけてクマノミが親指にキスしてくれると幸せになれるらしい。僕は、その岩礁にいたクマノミでさっそく試してみた。結果は、成功だ。大きなクマノミが僕の親指にしっかりキスしてくれた。キスされたと言うより、かみつかれたと言った方がいいかも知れない。これで、僕も幸せなれるんだろうか。
そのポイントでも、自由に泳がせてもらいきれい
な海を堪能した。南の海では、ウミウシまできれいだった。伊勢エビも美味しそうだった。きれいな魚や、珊瑚を見ているとあっという間に時間が過ぎていく。気がつくと、時間となりエントリーポイントに戻っていた。後は、ロープを使ってフィンを伊藤さんに持ってもらいはい上がるだけだった。タンクを背負って、海から上がるのは一苦労だった。
ダイビングの後は、大浦温泉で潮を流した。こぢんまりとした温泉だったが、浴室は空いていて快適だった。そこで、伊藤さんからウミガメの産卵が始まっている話を聞いた。ガイドブックでは、5月中旬以降に見られる様なことを書いていたので諦めていたのだが、見れるとわかっていて見ないで帰る訳にはいかない。ただ、見れるのは夜で永田浜まで行く足が必要だった。
温泉を出てからまっすぐレンタカー屋さんに行ってもらうことにした。予約は明日からだったが、もし空いていたら今夜のために借りてしまおうと思ったからだ。幸いゴールデンウィークも後半に入り、何とか希望の一番安い軽自動車を借りることが出来た。伊藤さんとは、そこで別れ精算、ログ付けは宿に帰ってからと言うことにした。
車を借りて先ず昼食にした。伊藤さんとレンタカー屋さんのおばさんのお薦めのカボチャ亭に行くことにした。そこはラーメンとカレーが美味しいことで有名らしく、島内の超有名店と言うことだった。行ってみると、噂どおりの混雑で行列が出来ていた。でも、人気メニューの屋久島ラーメンは食べる価値ありである。島の名物のサバ節がたっぷり乗っていた。
食事を済ませて、取りあえず車で島を一周してみることにした。途中、ガジュマル園や永田浜、屋久島灯台、大川の滝などに立ち寄りながら3時間ほどかけて一周し、今日の宿「まんてん」にたどり着いた。島の西側の西部林道は狭く蛇行していて、北海道の道になれた僕にはストレスだ
った。
宿について、ログ付け食事を済ませウミガメの産卵のことを宿の主人に聞いてみた。やはり、産卵は始まっているく、たまたまそこにいた宿泊客の青年と一緒に行くことになった。ウミガメの産卵は、曇りで暗い日に見れる可能性が高いらしく、今日はチャンスのようだった。
8時頃、その青年と申し合わせて宿を出発した。永田浜に通称かめハウスというNPO法人の建物があり、そこで200円払うとボランティアの人方が産卵場所に案内してくれる仕組みになっていた。浜には、何人ものボランティアが見回りをしていてかめ情報が無線で飛び交っているようだ。丁度僕らがそのかめハウスに着いたときに、少し離れた浜でかめが産卵準備に入ったという情報が流れた。ハウスの人が、もし今行くなら確実に産卵を見ることが出来ますよと教えてくれた。
その時、ハウスにいた僕らを含めた6,7人はぜひ見たいと言うことで、その場所に案内してもらうことにした。ハウスの前に男の人がいて、各自車でその人についていった。3,4分のところで、枝道に入り車を降りた。そこからは、歩きだ。その男の人は、無線でやり取りした後、ここをまっすぐ行きなさい、そうすれば女の子が向こうから迎えに来てくれますと言って戻っていった。僕らは、はやる気持ちを抑えながら暗闇の道を歩き続けた。しばらく歩いていると、向こうから女性のボランティアが走ってきた。慣れているとは言え、よくこの暗さの中を走れるものだ。その女性は、我々の人数を確認してカメのいるところまで案内してくれた。10分くらいは歩いたと思う。結構な距離だ。途中、海から一度砂浜に上がってUターンして海に戻っていったカメの足跡を見た。ウミガメは光を嫌い、上陸したカメが車の光を見て海に戻ってしまうとういうことがよくあるらしい。もう少し進んだところで、今度は一本の足跡があった。それは砂浜が土手のように盛り上がっていて、その上の方に続いていた。女性ボランティアはは、「この上にカメがいるのでそっと上がって下さい。」と僕らを誘導した。
僕は、わくわく、どきどきしながらそっとその土手を上った。頂上には、もう一人のボランティアがいて、その横に大きな黒い砂山のような固まりが見えた。ウミガメだ。「でかい。」、思わず声を出してしまった。以外にも、ウミガメは声には鈍感で気にしないで大丈夫だそうだ。僕らは、ウミガメの後の方からそっと近づいた。そこにいたボランティアが、「すでに産卵は始まっています。」と言うので、全員カメのおしりに注目したが何も見えない。僕らは、よく見るテレビの映像を想像していたのだ。その時、そのボランティアの人ががカメのおしりの砂を手で払いのけた。そこには、まさにテレビでよく見るウミガメの産卵の姿があった。おしりの先からシッポのように10cm位のくだが垂れていて、その先からピンポン球のような卵が数十秒おきに2・3個づつ産み落とされていた。産卵は、それから2・30分続いた。その間、ボランティアの人方は、ウミガメの採寸をしたり、前足にタグを取り付けたりする作業をしながら、ウミガメについてのいろいろな話をしてくれました。
産卵が終わり、ウミガメが卵を産んだ穴を埋め始めた頃、ボランティアの人の無線にあそこでもあがってる、こっちでもあがってるという情報が入ってきました。
そうこうしている内に、ボランチあの人たちは「それでは皆さん、我々は他のカメの観察に行かなければならないので、皆さんはここでこのカメが海に入ったときの時間を見ていて下さい。」と言って、別のカメのところに行ってしまった。
そうなると、我々の行動も少しずつ大胆になり、「そうだ、穴埋め作業を手伝ってあげよう。」と言って、後ろからカメに気づかれないように砂を投入するものが現れた。何となく、楽しそうに見えてみんな同じように手伝い始めた。通常、20分から30分くらいかかるとボランティアの人が言っていた作業が5分くらいで終わってしまった。その後、産卵場所がわからないようにカメが自分で周りの砂をならして海に帰り始めた。我々は、もう何をやっても大丈夫という気になり、カメの甲羅にぽんぽんさわり始めた。無理矢理握手するものや、頭をなでるものもいた。カメが海に向かって歩いている間に、みんな「よく頑張ったな。」、「また、戻ってこいよ。」とか自分の仲間に声をかけように話しかけた。そしてその日のクライマックスがやってきた。みんな、声を合わせて、「さよーなら〜。」と叫んでカメを見送った。僕の時計で11:19だった。
かめ送りという作業を通じて妙な連帯感を得た我々は、和気あいあいと来た道を戻った。途中、ボランティアの人たちが他ののカメの観察をしていた。入水は何時でした、と言う問いに、「11時19分でした。」と答えると、それが記録になった。
こうして、カメの産卵見学ツアーを終え宿に戻った。