1日目

 

 朝起きて、予定どおりベルサイユ宮殿に向かった。パリリヨン駅から、地下鉄と高速郊外鉄道(RER)を乗り継ぎヴェルサイユ・リゴ・ゴーシュ駅に行きそこから歩いた。地下鉄の乗り継ぎでは、困惑する場面もあり時間をロスしてしまったが、ヴェルサイユ・リゴ・ゴーシュ駅からは人の流れに乗って歩けばすぐに宮殿に着いた。宮殿前のアルム広場をまっすぐ進んだが、宮殿があまりに大きくどこから入ったらいいのかわからない。適当に歩いていると、庭園への入り口に出た。そこで、宮殿の前に一番の目的だった庭園を見学する事にした。
 庭園は、あまりに広いので、何処をどう歩いたらいいのかわからなかった、しかも細部まで手入れが行き届いていた。僕のガイドブックにはルイ14世のご推薦の見学コースが載っていたので、そのコースに沿って歩いてみる事にした。宮殿を背にして、大運河に向かって左側を歩き、運河前を通って右側に入り、宮殿まで戻って来るというコースで、途中に散らばっている大小の泉を巡るコースだ。宮殿前には、ものすごくたくさんの人がいたのに、庭園がものすごく広く、空間が生け垣で仕切られていたので、庭を巡るコース上はほとんど閑散としてして、のんびりと歩く事が出来た。庭園内は、幾何的に園路が作られているが、その所々の雰囲気は変えられていて飽きる事はなかった。庭園の中の、樹木に仕切られた空間の中にレストランがあり、そこで食事する事も出来た。
 庭園を歩くだけで、食事を含めて3時間くらいかかっただろうか。出来る事なら、丸一日ここでのんびり過ごして見たかった。でも、旅人の身ではそう言うわけにも行かない。仕方なく、最後に宮殿裏のスタート地点から運河の方向を一望して、宮殿の中を見学する事にしました。
 宮殿の入り口は2カ所あり、特別展示が見れるコースと、一般のコースに分かれていた。僕は、両方に入れるチケットを買い特別展示のコースから見学した。建物の中は、装飾がものすごく立派でどの部屋も天井が高く、あちらこちらに絵画が飾られていた。途中に、鏡の回廊という大きな空間があり、そこがヴェルサイユ条約の調印式が行われた場所だという事だった。その他にも贅沢な調度品や絵画で飾られた部屋がたくさんあった。山男の僕にとっては、それが凄いものだと感じる事は出来たが、それ以上の興味を引くものではなかった。それで、宮殿内は早々に見学を終わらせパリの街に戻った。ベルサイユ庭園宮殿の写真は別のところでも紹介していますので、見て下さい。
 パリに戻って、先ず明日のモンサンミッシェルへ行くツアーの予約をする事にした。ガイドブックに出ていた旅行代理店に行って見たが、残念ながらバス2台分の予約は既に埋まっていた。がっくり肩を落として帰ろうとしたら、その店の店員が近所の代理店を教えてくれた。急いでその店に行ってみると、丁度一席だけ空席があったので、すぐに予約を入れて貰った。パリからモンサンミッシェルまでは遠く、パリを早朝に出て、戻ってくるのは7時過ぎになってしまう。丸一日を使ってしまう事になるが、モンサンミッシェルは世界遺産で、CMやテレビ番組で何度か見ていて、以前から一度は行ってみたいところだったので仕方がない。
 明日の予定が決まり、安心してその代理店を出ると、そこはルーブル美術館のすぐ近くだった。時計を見ると、閉館まで1時間半ほどあるはずだった。僕は、走ってルーブルのガラスのピラミッドを目指した。
 ピラミッドの入り口から地下に降りたところに美術館の入り口がある。時間がないので、急いでチケットを買って中に入った。ところが、美術館はあまりに広く何が何処にあるのかさっぱり解らない。僕はここまで来た以上、とにかくモナリザだけは見ておかなくてはと思っていた。中に入って、最初に目に付いたのは、サモトラケのニケ像だ。大きな階段を上った正面に置かれていた。美術の教科書で何度も見た事のある像だ。その後、置いてあったパンフレットを見つけモナリザの展示されてる場所が解った。解ったといってもすぐに行けるわけではない。建物の中は迷路のように複雑で、しかも広い。何度も迷いながら、ようやくモナリザにたどり着く事が出来た。さすがに、モナリザの前は黒山の人だかりになっていた。列に並んで、モナリザの前にたどり着く目で10分くらいかかっただろうか。ゆっくり見たかったが、人の流れに逆らえずあっという間に世紀の美女の姿は小さくなってしまった。
 モナリザの次に、ミロのビーナスとハムラビ法典を見ようと思ったが、階段を間違えて何の因果か実物の見た事のあるイースター島のモアイ像のコーナーに出てしまった。時間があまり無いので戻って、再びミロのビーナスの所に行こうとしたら、係員にこちらに行くよう誘導された。どうしたんだろうと思いながらも言うとおりに歩いていると出口にたどり着いた。なんと、もう閉館の時間だったのだ。どうやら、1時間閉館の時間を間違っていたらしい。たぶん、サマータイムの関係でそうなったのだろうが残念だ。なんとか、係員の目を盗んでミロのビーナスだけでも一目見ていこうと思ったが無理だった。係員達も慣れたもので、はき出されるように出口に追いやれてしまった。
 閉館時間と言っても、まだ6時だ。まだまだ外は明るい。僕は、急いでホテルに戻り、パリでの旅先ジョギングを決行することにした。ホテルに着いたのは6時半。すぐに着替えて、外に出た。コースは、リヨン駅の近くのホテルを出て、セーヌ川沿いに走り、コンコルド広場に出てシャンゼリゼ通りに入り、凱旋門をゴールとした約6kmに設定した。走り始めてすぐに、セーヌ川沿いに出た。川と道路との間に、川の規模としては狭いが河川敷に当たる部分があり、そこに歩道がはしっていた。歩道沿いは、ローラースケートやローラーボード、ダンスなどいろんな遊びをしてる人がたくさんいて賑わっていた。僕のようにジョギングをしている人も多く、手を振ると笑顔を返してくれ、楽しくはしる事が出来た。
 セーヌ川沿いに少し走ったところで、左手の対岸にノートルダム大聖堂が見えてきた。セーヌ川沿いには、大小の遊覧船が行ったり来たりしている。大聖堂を過ぎると右手にルーブル美術館が現れる。さらに進んだところで、きれいなアーチ型の鉄の橋が現れた。それは、近づいてみると人道橋で二つのアーチが川の中央で重なっている構造になっていた。橋の名前は、ソルフェリーノ橋と言うらしい。橋の上に立ってみると、オルセー美術館が目の前に見える。床版は、軽くするためか木製だった。全体的にスリムで、遠くから見ても、近くから見ても、とても美しい橋で、パリの景観にとけ込んでいた。僕は、ここで通りかかりの人に頼んで記念写真を一枚撮った。
 ソルフェリーノ橋の次の橋が、コンコルド橋だ。僕は、そこからセーヌ川を離れコンコルド広場に入った。コンコルド広場の中心にはオベリスクが建っていて、二つの噴水が配置されていた。たくさんの観光客がくつろいでいるが、フランス革命の時には、ギロチンが置いてあり、ルイ16世やマリー・アントワネットもここで処刑されたらしい。ここでも、写真を撮ってもらい、シャンゼリゼ通りに入った。シャンゼリゼ通りの先には凱旋門が見えている。
 シャンゼリゼ通りはものすごく広かった。車道は、片側4車線で歩道も10mくらいはあるだろう。しかも、車道も歩道も車と人でびっしりだ。僕は、歩道を人を縫うように走った。歩道にはいると、街路樹が茂っていて凱旋門は見えなくなる。時折、車道に出て凱旋門の距離を見ながら走る事にした。シャンゼリゼ通りは1kmほどで、通りに沿っていろんな店があった。歩道上に椅子とテーブルを並べたカフェがたくさんあったが、何よりも改装中のルイビトンの本店が印象的だった。
 シャンゼリゼ通りを抜けて、ようやくゴールの凱旋門にたどり着いた。凱旋門は、大きなロータリーの中に立っていて、思った以上に大きかった。そのロータリーには横断歩道が無く、凱旋門へは地下歩道を渡っていくようになっていた。僕は、取りあえず凱旋門の下まで行き休憩することにした。わずか6kmほどの距離だが、疲れのたまってる体には少しきつかった。一休みして、帰りは地下鉄で帰る事にした。
 地下鉄でリヨン駅に戻り、駅から出たときに昨日入ったレストランが目に入った。店の前には、美味しそうな牡蠣がならんでいる。昨日メニューで見た海産物のてんこもりが無性に食べたくなった。僕は、急いでホテルに戻り、シャワーを浴びてレストランへと戻った。
 そのてんこもりには、牡蠣、カニ、蛤、ツブ、小エビ、その他いろいろとたくさんの種類のものがのっていたが牡蠣とカニがずば抜けてうまかった。その日は、てんこもりとワイン一本を飲み干し、気持ちよくホテルに戻った。明日のモンサンミッシェルが楽しみだ。
 





 

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