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翌朝6時、夕べから降り続いている雨は小雨になっていた。雲もかなり薄くなっている。ベッドから降りて立ってみると、体はまだかなり重く感じた。雨が止んでないこともあり、気力もわいてこない。雨はこれから上がるだろうが、体のだるさは取れる気がしなかった。この体調では、嵐の前に下山する事は無理だろうと思った。仕方なく、僕は今回の登頂を諦めることにした。ここまで来て、諦めるのは辛いが、この状態ではしょうがない。もう一度、ベッドの戻り横になった。
完全に日が昇ってから、再び目を覚ました。まだ、体はだるいが、部屋の中にくすぶっていても仕方ないので、傷心のまま町中の散歩に出てみることにした。。天気は予報どおり良くなってきていて、晴れ間もかなり広がっている。もうすぐモンブランの山頂も見えそうだった。ぶらぶらと町中を歩きながら、何となく登らない山を眺めているのは辛く感じた。「早くここを離れたい。」、そんな気がした。何処か山とは関係ない観光地にでも行って,気を紛らわしかった。僕は散歩がてら、駅に行き駅員に相談してみた。すると以外にも、パリまで半日くらいで行けることがわかった。僕は、パリに行ってみることにして、その場で切符を買った。普通ならシャモニに来たんだから、エギュイユ・デュ・ミディの展望台くらいは登ってみるところだろう。でも、そこに行ってモンブランを目の前に見てしまうとしまうと、もう二度とここに戻ってこないような気がした。今回の登頂は諦めたが、必ずここに戻ってきて、再びモンブランに挑戦することを心に決めているのだ。 汽車の時間までは余裕があったので、街で朝食を済ませからホテルに荷物をとりに戻った。
ホテルから駅に戻る途中、モンブランの山頂が顔を出していた。僕は、必ずここに戻ってきて、あそこに立つことを心に誓いシャモニを後にした。
シャモニからパリまでは、ST GERVAIS駅とANNECY駅で乗り換えて、パリのリヨン駅に到着することになる。ツェルマットからシャモニに来るときもそうだったが、このあたりでは駅の窓口で主要駅間の時刻表が用意されていて、窓口で尋ねればすぐにプリントされた時刻表をくれるので凄く便利だ。ANNECYからパリまでは、日本の新幹線と最高速度を競っているフランスの高速列車、TGVに乗ることになる。シャモニを10時40分に出て、パリに着くのは17時11分だ。少し長くなるが、疲れた体には丁度いいだろう。
列車は快適だった。アネシーからパリまでのTGVでは眠ることも出来き、パリに着く頃には体調もかなり回復していた。パリについて真っ先に、駅のインフォメーションでジュネーブ行きのTGVの時刻表をもらい、すぐに切符を購入した。次に、観光案内所で宿を探そうとしたが、あいにく案内所は5時で終了していた。仕方なく、表に出て歩いて探すことにした。駅の外に出て、メインストリートらしき通りを歩いてみた。数分歩く間に3件ほど安そうなホテルを見つける事が出来た。適当に、これだと思うところに入ってみた。相場からして、それほど高くなかったのでそこで3泊することに決めた。最近は、宿探しに時間をかけるなは面倒だし、何より時間がもったいないのでガイドブックに出ている相場前後であれば即決することにしている。
時間は6時過ぎ。パリについて、一時間少々で帰りの切符の手配と宿を確保した。旅慣れてきたせいか、宿無し旅行に不安を感じなくなった自分にちょっと感心した。パリの夜も長い。まだまだ、出歩くことの出来る時間なので少し歩いてみることにした。先ず、リヨン駅に戻り、地下鉄の路線図を見た。路線図の中程にセントミシェル-ノートルダム駅という所があった。きっと、ノートルダム大聖堂のあるところなんだろう。リヨン駅からも、一度の乗り換えで行けるようだったので、そこに行ってみることにした。切符は、大きなローラーで画面を操作して買うようになっていた。操作すると行っても、一律料金なので一枚ずつ買うか、回数券のようなものを買うか、それと現金で買うかカードで買うかぐらいしかない。構内はかなり複雑だったが、路線の番号が表示されているので慣れれば間違えることはないだろう。ただ、乗り換えの時はかなり歩くので、これでいいんだろうかと不安になった。
駅に着き、案内板とおりに歩いたつもりだったが反対方向に歩いてしまったようだ。引き返して、ようやくノートルダム大聖堂に到着した。さすがにでかい。セーヌ川沿いに見る姿が絵になっていた。大聖堂前の広場は、スケートボードをする人と、それを見る人で人混みになっていた。僕は、しばらく大聖堂の周りを散策し、セーヌ川沿いにリヨン駅まで歩いて変えることにした。地図を見ると2kmほどの距離だった。
ホテルに着いた頃には、ようやく外は暗くなり始めていた。シャワーを浴びて、ガイドブック片手に食事に出た。ガイドブックは、明日からの作戦を考えるためだ。行き先は、駅前のレストランだ。地下鉄に乗る前に見た、海産物を店の前で敷き詰めた氷の上に並べていた店が気になっていたのだ。牡蠣やカニ、エビが美味しそうだった。その店は、人気店らしくたくさんの人で賑わっていたが、なんとか一席用意して貰えた。
メニューを見せて貰うと、海産物をてんこ盛りにしたようなセットが目に付き凄く気になったが、海外で食べた海産物には失敗が多い事を思い出し、生牡蠣2種類とカニの半身、トマト味のニンニクの効いた少し酸っぱくて冷たいスープのようなもの(適当に頼んだが美味しかった)と鶏肉のステーキを頼んだ、飲み物はもちろん白ワインだ。生牡蠣は、少しすっぱみの効いたタマネギのみじん切りの入ったソースをかけて食べた。むちゃくちゃ美味しかった。カニはボイルされたもので、種類はわからないが胴体に肉がたっぷり詰まっていて、みそも多く凄く美味しかった。トマトのスープも美味しかった。適当に頼んだのでなんという料理かわからないが、もう一度食べてみたい味だ。鶏肉の、ステーキもまずまずだ。その日の食事は、今回の旅行中最高のものになった。
食事をしながら考えた明日以降の作戦はこうだ。先ず、明日はヴェルサイユ宮殿に行き半日を過ごす。次に、ルーブル美術館で残りの半日を過ごす。夕方、元気があったら町中をジョギングする。明後日は、前から行ってみたいと思っていたモンサンミッシェルに行く。ただし、日帰りするには交通の便が悪いのでツアーを使わなくてはならない。そのためには、ルーブル美術館の前に予約を入れなければならない。おそらく、モンサンミッシェルに行けば、それで一日を使ってしまう事になるだろう。そして、明々後日は、朝からジュネーブに戻りそのまま帰国。行く場所は少ないが、きっと内容の濃いものになるだろう。
その日は、素晴らしい食事に満足し、ホテルに戻った。