1日目

 2004年8月7日、僕は成田発ヒースロー空港行きブリティッシュエアウェイズBA008便の機内にいた。行き先は、ヒースロー空港を経由してのジュネーブ。旅の目的は、モンブランの登頂。スイスのツェルマットで高度順応した後、シャモニに入りニ・デーグルから一泊二日でモンブランに登頂するという計画だ。
 ヒースローまでの飛行時間は約12時間だ。僕は、これから始まる一人旅の不安を打ち消すためと、機内で出来るだけ早く寝てしまおうと思い、スチュワーデスさんが通るたびにお酒をもらい飲んでいた。ところが、興奮しているためかなかなか眠れない。ビール三缶、ワインの小瓶4本と映画3本を鑑賞して一睡も出来ないままヒースロー空港に着いてしまった。
 ヒースロー空港での待ち時間は、約3時間。居眠りするには短すぎるので、広い空港内を行ったり来たりしながら時間を過ごした。
 ヒースローからジュネーブまでの飛行時間は約3時間半。現地時間の夜10時35分に到着した。日本空港の片隅との時差は7時間で、日本では朝の5時35分と言うことになる。着陸の直前に、窓から外眺めていると下の方で盛大に花火が上がった。花火を上から眺めたのは、はじめてでなんだか自分を歓迎してくれているようだった。
 ジュネーブ空港に着いて、先ず両替をしようと思ったが、困ったことに両替所は既に終了していた。これでは、何も出来ない。取りあえず、空港駅に行ってみる事にした。出発案内の表示には、まだブリーク行きの列車があることが示されていた。最終は、11時半位だ。ただ、今日の内にブリークやフィプスに行ってもツェルマット行きの列車がないことがわかっていたので、今日の所は無理せず寝床の見つけやすいジュネーブ空港にとどまることにした。それに、窓口が閉まっていて何処で切符を買えばいいのか解らなかった。カードでの券売機
 駅内をしばらく歩き回っている内に、クレジットカードで切符を買える自販機があるこことが解った。取りあえず、これでスイスフランが無くてもツェルマット行きの切符を買うことが出来ると安心した。後は、寝床探しだ。丁度、いいところにベンチを発見した。僕は、そこで寝るつもりで荷物を下ろし、メモ帳に日記を付けはじめた。ところが、12時を回りそろそろ横になろうかと思ったときに、駅の警備員さんが来て「ここで寝ることは出来ない。」と追い出されてしまった。
 仕方なく、空港に戻り寝床を探すことにした。途中、キャッシングの機械を見つけ、もしかしたらと思いクレジットカードを挿入してみると、簡単に100フランをゲットすることが出来た。これで、今日すべき事は全て完了と安心し、空港の構内の片隅に静かな空間を見つけマットを敷いて寝ることにした。マットを敷く作業をしていると、今度は空港の警備員が現れた。彼らは、「そこで寝るつもりか。」と聞くので、「そうだ。」と答えた。また、追い出されるのかと思い、恐る恐る「何か問題でも?」と尋ねて見ると、「問題は無いが、鍵をかけるので4時まで出られないぞ。」と返事が返ってきた。「それじゃぁ、ここで寝てもいいのか」と聞き返すと「いいよ、グッドナイト。」という返事が返ってきた。ジュネーブ空港の寛大さに感謝。それにしても、国際テロの横行している昨今、こんな事でいいのだろうか。深いことは考えず、遠慮せずにそこで寝させて貰った。時間は、午前1時。日本時間で、朝の八時だ。
 

 

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